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長谷園さん

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現在は機能土鍋で有名な伊賀焼の長谷園さんですが
1832年、登り窯を作り創業してから
一筋縄ではいかないドラマがありました。
189年続く、長谷園さんのこれまでについて
少しお話ししたいと思います。

当時の伊賀焼は知名度も低く長い間
信楽焼や清水焼の下請け仕事をされていました。
転機が訪れたのは、6代目のとき。
伊賀焼に使う土を研究し、建築用タイルにも使えるよう
改良し事業を広げたのです。
下請けとタイル事業の二本柱。
しかし1995年、阪神淡路大震災が起こります。
地震の報道で、崩れた建築用タイルがTVで何度も放送され
「タイルは地震に弱い」というイメージが広がってしまい
キャンセルが相次いて起こりました。
そして、18億円もの借金を背負うことになるのです。

そんな中、長谷園さんの起死回生をかけたのは炊飯用土鍋。
土鍋で炊いたご飯は本当に美味しいのですが
忙しい毎日の中で炊くには少し厄介な部分がありました。
もっと簡単に誰でも美味しい土鍋ご飯が炊けたらと
多額の借金で倒産寸前ながらも
開発に4年もの歳月をかけて新作に挑みます。
そして2000年に完成した、火加減いらずで、吹きこぼれない
炊飯土鍋が「かまどさん」です。
この商品はじわじわヒットしていきます。

これ筆頭に、煙が出ず、食卓で燻製を楽しめる土鍋「いぶしぎん」や
空焚きしても(水をいれなくても)調理ができ
無水鍋の様に使える「ロースト土鍋」など
今までにない機能に特化した土鍋を生み出していきます。
時代に合わせた、IH対応の土鍋も開発。
食卓の飽くなき探検精神と時代にあったモノづくりで
長谷園さんはしっかりと地盤を築き直したのです。


※現在、写真の登り窯は製品を焼く時には使われていません














by askagoi | 2021-09-26 17:57 | ものづくり | Comments(0)